こんにちは、シキロウと申す者です。今回は月の彼方で逢いましょう(うぐいすルート)の感想を書いていきます。
今回はネタバレしまくってるので、未プレイの方はクリアしてから見るようにして下さい。
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簡単なキャラ紹介
文藝部の1学年上の先輩
気品を感じさせながらも親しみやすさを感じさせてくる良い先輩です。また、嫉妬等の感情が内面からにじみ出てるのがツボでした。個別にだけ見せる照れ顔、ちょっと強がりな所が可愛い。
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√の内容は正直反応に困りました(´-ω-`)灯華√よりも反応に困りました。この部分は後述します。

スクール編
√入って割と衝撃的だったのは、うぐいす先輩が病気!?って所ですね。
小さい頃に病気だったのは展望灯台の話で察してはいたのですが、今も病気を抱えているとは思いませんでした。星織ユメミライの真里花、銀色、遥かの雛多は小さい頃病気でしたが、本編では元気でしたからね。

病気を知り、恋を自覚した奏汰は普通にイケメンでした(小並)。
円や賢斗もうぐいす先輩とイチャイチャしてるときは妬みますが、困っているときは言葉だけでなく行動で助けてくれる良い友人だと感じました。アフター編でもこの良さが発揮されていて好きです。

デートで背伸びするシーンや卒業式のシーンは初恋1/1の碧√を何故か連想しましたね。(下画像参照)
込められた意味合いは完全に別物ではあるんですけれども。ぶっちゃけうぐいす先輩が無事卒業できるのは予定調和な感じがしましたね。とはいえ、奏汰の行動力とそれに協力する友人達が良い感じでした。

ライターの傾向を考えると、アフター編が本番みたいな所ありますので、スクール編は布石という感覚が全体的にあります。そしてうぐいす先輩はドイツで療養していましたが、卒業してから1年後に帰国します。
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アフター編
さて、本題のアフター編です。

旅行後、うぐいす先輩が病気で倒れたときはファ!??ってなりました。
他のアフター編では元気だったじゃん。何だ!?ってなりました。

後で考えてみたらうぐいす先輩のアフターだけスクール編の6年後なんですよね。
病気持ちのヒロインは√に入ることで残りの人生を楽しむor完治するパターンだと思っていただけに、
√に入らないことで病気が治るというのは新鮮でしたね。治ったとばかり思って油断してました。

病床にいるうぐいす先輩に「普通の態度」で接する聖衣良、きらり、友人達の姿は見ていて優しいtoneの作風が出ていてましたね。心が痛い。奏汰なりの結婚式のシーンもうぐいす先輩が望むありふれた幸せを感じる姿上手く表現できていたと思います。

日記を読む展開ではずっと泣きました(´;ω;`)
奏汰のこと本編開始時点で既に気にかけてるじゃないですか…うぐいす先輩をもっと幸せにしてあげたかったという感情でいっぱいになりました。エロゲで一番泣いたというレベルです。月ノ鐘も雰囲気に合いすぎて最強すぎる( p_q)


反応に困ったのは、うぐいす先輩の日記を読んだ後の展開ですね。
ざっと振り返ると、
新薬の開発がされて治療に専念していればうぐいす先輩を救えたことを知る
→灯華のエンデュミオンを文藝部の部室で入手し、過去の自分にメッセージを送れることを知る
→過去の自分にメッセージを送りうぐいす先輩との距離を作らせる
→過去が変わり、主人公の職業だけでなく周囲の人間関係や状況も変化させる
→「月の彼方」という本を書き、スーパームーンとブルームーンが重なる日に竜恋の鐘の所で帰国したうぐいす先輩と再会

灯華のエンデュミオンが何故部室にあったのかはオマケ部分で言及します。
過去改変によってうぐいす先輩の人生は勿論のこと、奏汰の仕事、人間関係、友人達、ビブリオテイクの状況まで変わってしまいます。

今まで積み重ねてきた愛が黒野うぐいすとして生きてきた先輩の幸せな一生も変える重い選択をしたな、と言えます。

この展開を見た時、「好みの展開ではないかな…」「奏汰ならそうするよね」といった感想を抱きました。少なくない人は最愛の人が病気で倒れ、生き返る手段があったとしても主人公が強く生きる展開を望むのではないかと思います。

今では肯定的に受け止めていますが、私もその一人でした。死んだ人は蘇らなくて失くした者は取り戻せない、そういう中で強く生きて欲しいという気持ちがあったんですよね。

只、今まで積み重ねてきた奏汰のうぐいす先輩への愛情もとても良く分かるんですよ…
過去を変えたいという思いもうぐいす先輩共に生きたいという感情に基づいていて尊いんですよね。

自分の好みの展開ではないからという理由でバッサリ奏汰の思いは切り捨てられませんでした。エンデュミオンの仕様上、奏汰のエゴだけで成せるものではなくて、うぐいす先輩の生きたいという意志も反映されてますので、単なる蘇りとは違うかもしれないと感じました。

じゃあ運命の選択をテーマにした作品だし、メッセージを送るか否かの部分で選択肢を設ければ良いのでは?という考えも浮かびました。
そうすればどちらの物語も見られるのでアリかもしれないです。

その場合はメッセージを送る選択肢が黒野奏汰の物語ではなく、プレイヤーの望む物語であることを自覚しながらやる必要があるでしょうが(仮にあったとして自覚できる人はどれだけいるのやら)

好き嫌いが分かれそうなところではありますが、奏汰は灯華でも過去を積極的に変えてますし、その部分がうぐいす先輩の√にも現れていると感じました。
そういう意味では登場人物の性格・行動が表れている「キャラゲー」だと感じた次第です。

EDムービーで「同じ景色の中、二人の速度で」という言葉、二人の関係を簡潔に示していて滅茶苦茶良い言葉だと感じました。「With Tomorrow」は挿入歌という位置にありますが、実質うぐいす先輩のイメージソングといっても良いレベルです。

失ったものも少なくないですし、完全なハッピーエンドでは言い切れませんが、どこか希望を感じさせてくれましたし、うぐいす√における「月の彼方」が表れていました。この先を見たいと思うのは野暮だと感じましたし、その先は二人だけの物語なんでしょうね。

最後に
うぐいす√の終わり方に関しては、今まで積み重ねてきた関係性をどう受け止めるかによって好き嫌いが分かれるのではないかと思います。
toneworksの作品のテーマの根底は「あしあと」な訳ですが、うぐいす先輩√では積み重ねた愛情故に今までの軌跡を否定し、うぐいす先輩が生きる未来と共にいきる「あしあと」を手に入れた、という印象を感じました。「あしあと」という根底を別の切り口からあてていて素晴らしいと思いました。
心に残った作品ですし、心に残したいと思えるほど良いルートでした。

追記
toneworksというよりはkeyっぽいという声を偶に聞くので個人的な見解を言っておきます。key作品は「積み重ねた楽しい日常とその中の奇跡」が作品のキモでtone作品は「穏やかで幸せな日常と二人で描く軌跡」が作品のキモだと思ってます。
うぐいすルートでも「穏やかで幸せな日常と二人で描く軌跡」がよく表れていますし、うぐいすルートはtone作品っぽいと思ってます。

この√をやるとその人が物語の展開を重視して読んでいるのか主人公の心情を重視して読んでいるのかがよく分かります。
どちらの読み方に優劣はありませんが、完走した人の反応を見るのが楽しみなのでクリアした人は感想を書いて欲しい限りです。


これからもtoneworksの作品に注目していきたいです。
それではまた。




オマケ
灯華のエンデュミオンが何故部室にあったのか…ということですが、結論から言えば憶測の域を出ません(オイ)

灯華はうぐいす先輩が病気であることを知っていて、何かあったときの備えでエンデュミオンを部室に置いたのでしょう。
灯華は奏汰と共に副部長の告白を聞いていたため、うぐいす先輩が病気であることを知っています。

エンデュミオンの過去へメッセージを送れる仕様を知っていれば、エンデュミオンを置くのも納得です。冒頭部分で灯華が過去改変を行い、本編へと至っているため、エンデュミオンの仕様については把握しているのではないかと思います。


余談ですが、C97の小冊子「彼方へのメッセージ」を読む限りでは、灯華はうぐいす√での中継役となった可能性が高いです。灯華は奏汰の手助けをした、と言えるでしょう。